朝基の能力についての話が一段落した所で、それまできょとんと聞いていた榊が話に加わった。
「後ろにいた四人もプレディクターなのかい?それとももう、手遅れって感じに操られているとか」
「いや、アイツらは人間だ。操られてもいないはずだ。少なくとも仁紫は」
ああ、単眼鏡を付けていた男の事だ、と迢は加える。
「あの単眼鏡はオーセラサーといって、そういった力を遮断する」
「…って、いつか自分で言ってたわね」
琥香が肩をすくめた。
「本当の所はわからないが…」
ふう、と迢が息をついた。
朝会で、参加している全員がこんなにも真面目に討論している事は極めて珍しい。
それ自体は良い事のはずなのだが……内容があまり好ましくない。
できる事なら彼らには二度と会いたくなかったのだ。
実に面倒な事になった、と迢は思う。
これからはいつも通りの予定表に加え、彼らがまた来た時の為の対策を練っておかなければならないのだ。
鳶慈や紀阿が来て、自分の仕事が減ったのはこの為だったのではないかとすら思った。
「あああ!兄さん!!」
朝会も、朝食も済んで仕事が始まってしばらく。
ようやく部屋から出てきた鴇慈に、鳶慈は怒りを帯びた声を上げる。
「夜も朝も皆大変だったんだからね!」
「…ん〜…」
まだ眠そうな返事をされて、思わず溜め息をつく鳶慈。
「もう〜…どうして兄さんはそうかなぁ…」
ぐいぐいと背中を押して食堂へ連れて行き、時計を見て気付く。
「…あれ?やだなぁ、兄さん。こんな日に限って、起きるの遅かったね?」
それは、ほんの少しの差なのだけれど。
睡眠時間がかなり長く、常識的な生活とは言い難いが、毎日同じ時間に就寝起床という事に関しては、鴇慈はかなり規則正しい。
それなのに。
「いつもより三十分くらい遅いよ。どうしたの?実は具合でも悪かったとか?」
それなら怒っちゃってゴメンね、とあたふたする鳶慈に、鴇慈は笑いかけた。
「いや、たまたま寝坊した。悪かったな」
一つ欠伸をした後、砂の出してくれた朝食に手をつける鴇慈。
鳶慈はまた小さく、もう…と言って、夜中の襲撃と朝会について話し始めた。
彼は知らないのだ。
兄が夜中に起きていたから、起きる時間がずれた事なんて。
何が起きていたか、本当は全部知っている事なんて。