「来い、雷(いかずち)!!」
旨篤が剣を振り上げると、そこを中心として辺りに轟音と光が散っていく。
たくさんの冠座四方会の会員たちが倒れる。
反対の方向では、夜栄が小型爆弾を次々と爆破していっている。
「忌々しい魔族が!」
仁紫は顔を歪めて小型の銃を旨篤に向けるが、それを鴇慈が叩き落した。
「そうそう簡単にココを落とせると思ったか?数が多けりゃ良いってもんじゃねぇ」
そのまま首元を掴み、腹部に蹴りを一撃入れる。
「ぐっ…」
仁紫はたまらず膝をつく。
「大怪我しないうちに帰れ。そして二度と来るな」
咳込んだまま、仁紫が声を出せずにいるので、鴇慈は彼から目を離さないまま叫んだ。
「夜栄!翔汰と恵方のカバーに入れ!まだ、アイツらには辛いかもしれない!」
「わかった」
そう言って、夜栄は翔汰たちの所へ走っていく。
それを見届けた時、仁紫が言った。
「ふん…こっちはお前等がいれば大丈夫だと?自惚れるな…」
睨みつけながら、鴇慈は返す。
「やっと声を出せるようになったような奴が、よく言うよ」
その言葉に仁紫はニヤリと笑った。
「確かにな…。けれど、向こうはどうだ?夜栄1人で、残りは新入りなんだろう?」
鴇慈は、眉をひそめた。
「……何……?」
「まだ一歩足りないな」
ゆっくりと立ち上がりながら、仁紫はずれた単眼鏡を直す。
「司令官がいる方が本隊とは限らない」
「…まさか…!」
「私は囮だよ、鴇慈…。私がいれば、お前たちは必ずこっちへ来ると踏んだ」
戦いの前の、迢の言葉が頭を掠める。
『今日は、仁紫の部隊がいつもと違う気がする。…気をつけろ』
――しまった…!
「旨篤!今すぐ向こうに飛べ!!」
鴇慈が慌てて仁紫を離してそう言った時、夜栄たちがいる方で大爆発が起こった。
「…何だ?こんな爆発が起こるはずが…」
仁紫が怪訝そうな顔をする。
そこへ、仁紫の部下が何事かを彼に伝えると、仁紫は納得したように頷いた。
「今日の所は引き上げる。次に会う時がお前らの最期だと思え」
言いながら背を向ける仁紫を追う事はせず、鴇慈は夜栄たちのいる方へ走り出した。

「何が起こったんだ!?」
鴇慈が辿り着いた時、そこは焼け野原だった。
そこら中から煙が上がっている。
「鴇慈さん!」
翔汰が走ってきて、鴇慈に状況を伝える。
どうやら冠座四方会の連中が、新しい兵器を開発してそれを使おうとしたらしい。
…が、夜栄が内部からそれを爆破したというのだ。
そう、内部から爆破という事は、中にいた彼は。
「夜栄!」
鴇慈の声に、返事は無かった。

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