全てに一段落ついた夜。
夜栄が、鴇慈にポツリと呟いた。
「……本当にお前は、俺が怖くないのか?」
鴇慈は、不思議そうに顔を上げる。
「…どうしてだ?」
「……殺されても死なない呪われた体。お前が歳をとっても、もう俺はいつまでもこのまま」
「永遠に生きる?」
そう訊くと、夜栄は首を横に振った。
「いつだかはわからない。……けれど、それぞれに与えられた時間が無くなればそこで終わりだ」
『殺されても死なない』けれど『死』に怯えるのは同じらしい。
痛みなども、ちゃんとあるそうだ。
だから、能力を増やしたいからといって、自ら死ぬという馬鹿げた事をする者はいないらしい。
「周囲は、俺たちをずっと恐れていたようだ。だから、俺たちの種族はいつも人目を避けて」
小さな村を作っていたというけれど。
「それでもココに来たのは、……何でだ?」
鴇慈の質問に、夜栄は口篭る。
「それは……」
「1人でも良い、全てを受け入れてくれるヤツが欲しかった。……違うか?」
……多分、正しかった。
誰か1人でも。
きっと、そんな思いがあった。
何故ココを選んだのかは、自分でもわからないが。
その選択は、間違いではなかったのだ。
「もう、平気じゃないか。俺も旨篤もいる。ココにいる皆、大丈夫だ」
「鴇慈……」
「俺がお前で、お前が俺なら、お前は俺が怖いか?」
笑いながら言う鴇慈に、夜栄は笑顔を向けた。



避けられるのが怖くて手探りで生きてきた自分。
それはもう、全て捨てよう。
要らない、要らない。
否定される怯えなんて、もう、必要が無い。
一度目の終止符で見つけられた大切なモノを、これから守り続けよう。
その証に一つ、墓を作ってみないか。
この気持ちを忘れかけた時、それを見れば思い出すように。

墓標。
それは、今まで生きていた証。
コレからを、より大切にしていこうという思いの欠片。



−了−

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