謎の部屋に潜入せよ!


「実はね、私、一ヶ所だけまだ見た事が無い部屋があるの」
鳶慈が団に入団した次の日、突然部屋に遊びに来た紀阿の台詞だ。
本当に全然人見知りをしない子なんだなぁ、と鳶慈は思った。
別に迷惑なわけではないので、全然構わないのだが。
まあ、ココにいる以上、いわば運命共同体。
皆これからずっと一緒の生活をしていくのに、あまり内に篭るのも問題あるといえばそうなのだが。
しかし、部屋が近いからといって朝いきなり(まだ鴇慈が寝てるのに)訪ねてくるというのもどうなのか。
――…このくらいで兄さんが起きるはずないから良いんだけどね…。
当然の如くそのまま眠り続ける兄を見て、鳶慈は苦笑いをした。
そんな鳶慈をよそに、紀阿はニッコリ笑う。
「…で、今日のお昼休み、行ってみようよ!」
「え?僕も一緒に?」

というわけで。
ウキウキした紀阿と、ドキドキした鳶慈、そして少々ビクビクしている琴佳がココにいたりする。
「翌君と淑沙君も来れば良かったのに…」
今年の新入団員仲間と云う事で誘ってはみたのだが、丁重にお断りされた。
確かにこういった探検ごっこ的な事を楽しむタイプではない気がする。
翌は、昼休みとはやや縁遠い仕事についているし。
コレで夕飯作りが間に合わなかったりしたら大変だ。
タイプで云えば琴佳もココにいるべきではない感じだが、いつのまにか結成された感じの仲良し3人組。
断るに断れず、今ココにいるといった所なのだろう。
「紀阿ちゃんが見た事無いって事は、僕もまだって事だよね」
昨日案内してくれたのが彼女なわけだから当然である。
「うん。今日見に来ようと思ってたから。鳶慈君、ナイスタイミングで団に来たよね」
鳶慈が来たから今日、というわけではなく、入団当初から狙っていた日の前日にたまたま彼が来たという所か。
「どうしてか迢さん、ココだけは案内してくれなかったんだよね」
言いながら紀阿は扉に手をかけた。
入り口、つまり受付から見てかなり奥まった所にある扉。
そう書いてはいないモノの、何となーく『開けてはいけません』という雰囲気がある。
他の部屋にはそれぞれの役割を示すプレートがあるのに、ココには無いのも怪しい。
「…開けて…良いのでしょうか…」
恐々と琴佳は訪ねたが、紀阿は余裕の表情でぐいっと押した。

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