「何か、面白い人だったねー」
宝物庫から出て、紀阿が笑いながら云った。
頷きながら鳶慈も云う。
「乃木さんか…。あの様子だと、迢さん達と歳が変わらないのかな」
と。
突然後ろの扉が開き、乃木が姿を現した。
「名前を尋ね忘れた。それから、私の事は『乃木ちゃん』と呼ぶように。それ以外の呼ばれ方は好まない」
鳶慈は思わずがっくりと肩を落とした。
「あー、乃木に会ったのか」
夜。
恐らくこれから毎日恒例のようになると思われる、鳶慈から鴇慈への今日あった事報告タイムだ。
「面白い奴だったろ」
鳶慈はちょっと遠慮がちに頷く。
「うん。面白いっていうか…変わってるっていうか…」
「ああいう面白さって血なのかもなぁ」
「…え?」
既にベッドに潜り込みかけている鴇慈の顔を覗き込む。
「兄さん?血って…どういう事?」
鴇慈は目をこすりながら答えた。
「そうか、そんな事いちいち云わないか。乃木は禾の従兄弟なんだ」
「ええ!?」
鳶慈は大いなる衝撃を受けた。
昨日天井から話し掛けてきた彼と、今日会った乃木が従兄弟同士とは。
「何となくアイツら似てるよ」
「見た目が?」
まだ禾の姿を見た事が無い鳶慈は、ちょっとドキドキする。
「見た目…っていうか性格が、だな」
「ふ〜ん…」
人前が嫌いな禾と、ポーズをつけて出たがる乃木。
全然違うような気もしたが、『変わっている』という点では確かに似ているかもしれない、と鳶慈は思った。
団での生活は、やはり奥が深そうである。