迢たちのいる所から離れた団員たちの元へ、もう1人の団員が合流する。
明るい水色の髪が元気よくはねている少年…鳶慈だ。
「あの、皆さんどうしたんですか。一体何があったんです?」
実は鳶慈の部屋は鴇慈がいるが防音ではない。
だから彼もしっかりと爆音で目が覚め飛び起きたのだが、全く起きる気配の無い兄を懸命に起こそうと今まで頑張っていたのだ。
その努力は実らなかったようだが。
「兄さん、全然起きてくれなくて…」
とほほ…と頭を掻く鳶慈に、琥香が先程起きた事を説明する。
「…朝基さん…ですか」
鴇慈のおかげで団関連の知り合いが多い鳶慈も、その名前は聞いた事が無かった。
「そうね。慧史たちも知らないでしょう。去年は一度も来なかったから」
彼らは、一昨年まで執拗に団を狙って攻め込んで来ていた。
しかし、ある一件以来姿を一切見せなくなっていたのだが。
「また疲れることになりそうよ…」
苦笑いをする琥香に、鳶慈は首を傾げるしかなかった。
「ちょっと煙幕多すぎ…」
赤だらけの少年が咳込みながらぼやく。
「でも、逃げられたから良いじゃない」
智弥に背負われた朝基が笑う。
仁紫は不機嫌そうな顔をしたまま黙っていた。
「…仁紫、怒ってる?」
「………当たり前だ。誰があそこで『力』を使えと言った」
「だって〜、迢があんまり俺の事怖がるもんだから、ちょっと脅かしてやりたくなっちゃって」
「それでまた倒れたりしたらどうする?お前は…」
「はいはいストップー!」
少年が仁紫と朝基の間に入る。
「綺誰(きた)、邪魔だ」
仁紫が睨むが、少年――綺誰は全く引く様子は無い。
「ココで喧嘩したって仕方ないだろ。もう済んだ事じゃない。ねぇ、皆実(みなみ)?」
すると、後ろからついてきていた前髪の長い男が頷いた。
「そうですよ、仁紫さん。皆無事だったんですし、今日はそれで…」
仁紫は諦めたように息をついた。
「大体らしくないよ、仁紫。心配なのはわかるけど」
しかし仁紫はそれには何も応えなかった。
そんな彼を智弥の背中から見ていた朝基がふと振り返ると、団の一室からこちらを見ている影が一つ。
朝基は、思わず笑った。
そして手を大きく振ると、影は小さく手を振った。
「…来たか…」
影はカーテンを閉めベッドに潜り込んだ。
起きていた事を、もうすぐココに戻ってくるであろう弟に知られないように。
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