場面:皇帝の部屋
悪魔

『そういやあ、お前等は俺様より先に知り合いだったんだっけ?』

節制

『そうだな。
10年くらい前の話か。』

皇帝

『今思い出しても頭に来る、ムカつく野郎だったぜコイツは』

場面:10年前 城内廊下
ドンッ
ぶつかる皇帝と節制
皇帝

『いってぇ…!!』

節制

『城内で走るな、危ない。
一体何処の子供だ、こんな所に入り込んで。
………おや、殿下』

皇帝

『「おや、殿下」じゃねぇよ!!
お前、最初から俺だってわかってたんだろ、白々しい!!』

節制

『いえいえ、滅相もございません。
まさか殿下ともあろうお方が、このような所を走っておられるとは夢にも思いませんから』

皇帝

『…何処かで見た事があるぞ。
そうだ、インペリアルガードの新入りだな?』

節制

『殿下が私の様な者をご存知とは、恐悦至極にございます』

皇帝

『ふん、心にも無い世辞は要らねぇよ。
俺が皇子だからって、皆適当にご機嫌取れば良いだろうと思いやがって』

節制

『じゃあ、普通の子供扱いで良いのか。
それは楽で良い』

皇帝

『何だその口の利き方は!
俺を誰だと思ってる!!
いくら何でも普通の子供の扱いはなぁ…!』

節制

『やれやれ、難しいお年頃という事ですね』

肩をすくめる節制に、顔を真っ赤にしてううううと唸る皇帝。
皇帝

『何てムカつく奴なんだ!
どうしてお前みたいな奴が、俺達を守るインペリアルガードなんかに!!』

節制

『ご安心下さい、殿下』

皇帝

『何?』

節制

『我々インペリアルガードは、「貴方がた」をお守りするのではありません。
あくまで「皇帝」、つまり、貴方のお父上をお守りする騎士であって、殿下の事は二の次三の次ですから』

皇帝

『!!』

ニッコリ笑う節制と、彼を指差して何か言おうと口をパクパクする皇帝。
しかし、何も言葉が出ないらしく、バッと背を向けて廊下の向こうへ走って行く。
途中で一度だけ振り返り、
皇帝

『…覚えてろよ!!』

場面:現在 皇帝の部屋
悪魔

『あっはっはっは…!!』

文字通り、笑い転げる悪魔。
皇帝

『笑い事じゃねぇよ!
仕えてる奴に対しての態度だと思うか!?』

節制

『だから、俺はお前に仕えていたわけではない』

皇帝

『確かに「皇帝」最優先かもしれねぇけどな、次期皇帝候補に対してアレはどうなんだ!
皇帝に仕えるっていうか、帝国に仕えてんだろお前等!?』

節制

『子供相手のちょっとした冗談だろう』

皇帝

『子供相手だからこそ、冗談が通じねぇって事は考えなかったのか!!』

節制

『涙を見た時は、流石に罪悪感を感じたな』

皇帝

『泣いてねぇーー!!』

悪魔

『あっはっはっはっは……』

悪魔、ヒーヒー言いながら、
悪魔

『で、どうしたのよ皇帝。
何か復讐したわけ?』

皇帝

『……別に…』

悪魔

『…あれれ?
何か、いきなり元気無くなっちゃった。
どしたのこの子?』

節制

『嘘はいけないな、皇帝。
色々仕掛けたけれど全て難なくかわされ、何か事あるごとに以前と同じようにあしらわれ。
しかし、いつしか少年は気付くのです。
「あれ…もしかしてコイツ……この城の中で、唯一俺と普通にコミュニケーションを取ってくれる奴なんじゃ…」』

悪魔

『あっはっはっは!
あっはっはっはっは……!!
ど、何処の青春物語だよそれ面白すぎる…!!』

ゴロゴロゴロ…バンバンバン!!(悪魔が笑い転げながら床を叩く音)
皇帝

『〜〜〜〜!
てめぇら〜〜………!!』

節制

『強ち嘘でもないだろう?
あの年頃なら、歳が近い友人が欲しくて当たり前だ。
しかしお前の置かれた状況下では、それは非常に難しかった。
そこへ…まあ、多少歳は離れているが、他の家来達に比べれば若く、そして気さくな俺の登場というわけだ。
思わずお前が「友達になれるかも!」と思ってしまっても仕方あるまい。
なあ?』

少し意地悪そうな笑みを浮かべる節制。
皇帝は、ゆっくりと目をそらす。
皇帝

『……。
………。
…………ひ、否定はしてないだろ』

悪魔

『…』

節制

『…』

皇帝

『…』

暫し間。
悪魔

『…は、恥ずかしいいぃぃ〜〜!!
あはははは!!
あはははははは!!
あっはっはっはっはっは!!
ん、もーう!
寂しがり屋さんなんだからぁ!!
あははははははははは…!!』

再度笑い転げる悪魔。
節制は、少し呆れが入った表情。
節制

『…いや…素直なのは良いんだが…、ココはとりあえず否定しておかないと、本当に恥ずかしいぞお互い』

皇帝

『うるせえ!
うっかり言っちゃったんだよ!
仕方ねぇだろうが!!
もう出て行け!
二人共出て行け!
そんでもって暫くココに来んな!!』

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