『……』
『なーに悩んでんの』
『うわ!
……何だ、お前か』
『冷てーの。
心配して声かけてやってんのに』
『勝手に窓から音も無く入ってくるような奴に、何で優しくしなきゃいけねぇんだよ』
『たまたま音が立たなかっただけでしょうが。
第一、この位置にいて俺様が入ってきたのに気付かないなんて、悪い人が来たらあっという間にザックリだよ』
『俺にそんな事出来る奴がいるなら、見てみたいもんだ』
『お、凄い自信だねぇ』
『まあ、「皇帝」ってのはそういうもんだ。
で、何か用か?』
『んーん。
用ってのは無いんだけど、窓から見たら悩んでたから来てみた。
だから、最初に訊いたでしょうが。
「何悩んでんの?」って』
『あー……うん。
ちょっと、欲しい情報があるんだが、どう集めたら良いものかと』
『情報?』
『ちょっとした調査って言うか…。
普通の用なら、戦車か剛毅に頼むんだが、今回の事は関わらせるわけにはいかない』
『情報ねぇ……。
俺様にも頼まないって事は、何か特殊なんだな?』
『その通り。
俺が集めて周れれば一番良いんだが、そうもいかないからな』
『何が欲しいのか知らねぇけど、まあアレだ。
情報って言ったら月の店だろ』
『月の店?』
『ありとあらゆる事を知ってる、おっそろしい情報屋だよ。
ガキンコがやってる店なんだけど、その腕は確かだぜ。
一体どうやって情報集めてんだか』
『口は?』
『あれだけ信頼されてるし、相当堅いんじゃないのかね。
あの店から洩れたって話は聞いた事ねぇよ』
『それは良い。
集められるだけの情報を集めてもらって、後の事は自分でやれば……』
『後の事?』
『いや、何でも』
『ま、良いけど。
ああ、そうだ。
ちょっと危ない所にあるから、それだけは気を付けろよ』