『別に相談しに来たわけじゃない』
『では一体何故此処に?』
『お前に訊きたい事がある』
『可能な限りお答えしよう』
『後ろにいるのは誰だ』
『これはこれは。
皇帝、可笑しな事を仰るな。
私の後ろに誰がいるというのか。
此処にいるのはただ一人、私、運命の輪。
……いや、今はもう一人。
貴方、皇帝だけではないか』
『そのままの意味じゃねぇさ。
お前を動かしているのは誰なのかって訊いてるんだ』
『……。
貴方が何処までご存知なのか知らないが、申し訳ない。
今、私の口からそれを答える事はできない』
『お前には何が見えてる…?』
『残念ながら何も』
『だろうな。
でなきゃ、いつも同じ表情(かお)なんて有り得ねぇ』
『例え、この世の全てが見えていたとしても、私はずっとこの表情だろう。
…なるほど、特に何をご存知というわけではないようだ』
『どういう事だ?』
『いずれわかる事。
今はお帰りになると良い』