『おいお前、こんな所まで入って来やがって、一体何の用だ』
『……王子?
そうか、森の王はお休み中か』
『この気配は…。
もしや皇帝陛下?
これは失礼を』
『いや、こちらこそ不躾に申し訳ない。
この方法が一番わかりやすいかと思って失礼させて頂いた』
『恥ずかしながら周囲の情勢に疎く…。
確か、少し前にご即位されたのでしたか』
『一応、一年半強という所か。
まあ、森人達から見ればほんの僅かな時間だろうが』
『そうですね。
人とは違う時間を歩んでおりますゆえ』
『お父上が眠りにつかれたのはいつ頃だったか?』
『陛下が即位されて暫く……いや、もう少しでしたでしょうか』
『という事は、王子は目覚めて一年経つか経たないか…。
そんな所か…。
それでは難しい』
『何か特殊な御用が?』
『先代の崩御の前後の事で尋ねたい事があったんだ。
だが、王と王子は入れ替わりで眠るのだろう?』
『ああ、それでしたらお役に立てるかもしれません。
二人同時に目覚めて眠るわけではありませんので』
『そうか、では訊いてみる価値はある。
崩御の前に、ココへ立ち入った人間はいなかったか?』