『はい、次、どーぞ』
『特に紹介というわけではないんだが、腕の良い情報屋という話を聞いて来た。
一見の客は無理か?』
『いや、こだわんないねぇ。
情報が欲しいってヤツにゃ、よっぽどの事がない限り平等に提供してるつもりだがね』
『そうか、それなら安心だ。
本当なら俺自身で調べたい事なんだが、なかなかそうもいかなくてな』
『わけありの客なんざ、ここいらには山ほどいるさ。
むしろ重い事情を持ってねぇ方が珍しいだろうよ。
その辺の事情ってやつぁ訊かねぇが、後々の為にちょっとした事はこっちに保管させてもらうが構わんかね?』
『何を言えば良い?
名前か?
それとも住まいか?』
『あ、アンタ…!!』
『何だ?』
『ちょいと待ちな!』
『大口だ、悪ぃ!
しばらく閉めるぜ!!』
『大口?
俺は別に…』
『ふぅー……危ねぇ…』
『一体どういう事だ?』
『どうもこうも…。
アンタ、皇帝だろ?
一体何だってこんな所に直接来てんだ?』
『何でわかったんだ?
街の人間は俺の顔なんて覚えてないから、適当な服着りゃわからないって知り合いが言ってたんだが』
『そりゃ、豆粒より小さく見えるような戴冠式その他じゃ、顔までしっかり覚えてるヤツなんていねぇだろうよ。
でもな、アンタにゃそれがあんだろう?』
『そうか、お前は「鍵」の事を知っているんだな?』
『こんな仕事してんだ。
それくらいの事は知ってる。
ビックリしたぜぇ?』
『皇帝相手に情報は売れないか?』
『んな事ぁねぇけど。
でもま、万が一の事を考えて、アンタは常に別室扱い。
客足が止むまで待ちで時間が掛かるが、それでも良いかい?』
『構わん。
しかし、これからどれだけ通う事になるかわからないが、毎回壁が出てくるのも気が引けるな』
『外からこの部屋に入る道を教えてやんよ。
来た時には情報を渡すふりするから、紙受け取って帰ったように見せながらココで待ってな』
『なるほど、わかった』
『はー…やれやれ。
噂ってのぁ恐ろしいもんだな。
まさかこんなトコが皇帝の耳にまで入るたぁさぁ…』
『まあ、俺にも色んな知り合いがいるって事だ』
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