『お目通りが叶って光栄です、陛下。
先日は兄が大変な失礼を致しました。
この場を借りてお詫びさせて頂きたく思います』
『ほう、妹の方が余程礼儀がなってるわけか』
『滅相もございません。
兄妹共に軽輩でございます。
理由はわかりませんが、何故か兄は陛下を目の敵にしている様子。
本来ならば本人がこの場に参らねばならないというのに…何ともお恥ずかしい限りです。
けれど陛下、兄も多くの信者達をまとめる身。
跡継ぎもまだおりませぬ今、万が一の事があればその全てが道を失います。
何卒寛容なご処置を賜りたいと、私が参りました』
『アイツの無礼加減は今に始まったこっちゃねぇ。
それに、俺もあの時は頭に血が上って色々口走った。
この件に関してはお互い忘れる事にしようぜ』
『ああ、ありがとうございます!
その広き御心に感謝致します』
『……そうだ、お前にも訊いてみるか』
『私に答えられるような事でしたら何なりと』
『お前は、本当に神がいると信じているのか?』
『勿論でございます。
陛下は、信じていらっしゃらないのですか?』
『まあ、色々あってな。
やっぱり怒るか?』
『いいえ、個人の自由ですから。
はっきりと誰の目にも映るような何かでない限り、万人に信じろというのは無理だと考えております』
『柔軟だな。
では、何故お前は信じる?』
『常に見られていると思えば、気が引き締まります。
そして自分を磨いていけます』
『なるほど。
では、救うものと救わないものがいる事についてはどう考える?』
『人間と神は決して繋がってはいないのですわ。
神は私達を見ているだけなのです。
…そうですね、いわば、作った紙飛行機を次々に飛ばして、その行く先を眺めているだけというか。
それが何処かに引っ掛かろうと、綺麗に着地しようと、はたまた何かにぶつかって壊れてしまおうと手は出さない。
そういう存在なのです。
この世界そのものとも言えるかもしれません』
『……お前、兄貴とよく意見がぶつかるだろう』
『お分かりになりますか』
『考えがまるで違う。
良いのかよ、そんなんで』
『それぞれの信者の傾向も違いますから大丈夫です。
信じたいものを信じればそれで良いのですよ』
『面白ぇ。
兄貴とはどうにも合いそうにねぇが、お前の事は好きになれそうだ』
『まあ!
光栄の至りにございます陛下』