『……一体どっから入ったよ』
『そこんトコ、開いてたから縮んで』
『人間の世界じゃ、それは犯罪っていうもんだ』
『お前らのルールなんて知るか。
開いてりゃ入る。
風と同じさ』
『…へーへー……。
で、一体何の用さね。
アンタだろうがさ、二度と姿見せんなって言ったんは。
アンタの方から来てどうするよ』
『そりゃあもう会いたくなんて無かったさ。
でも、肝心のあの子の名前と住んでる場所がわかんねぇんだよ』
『は?』
『最近森に来ないから、こっちから会いに来たんだ。
ところがあの時、うっかり名前を聞き忘れてた。
…で、ムカつくけど、あの子が言ってたお前の名前を頼りに来たんだよ。
何か知らんが、お前は有名らしくてすぐにわかったから』
『ははー……、とどのつまり、俺に、アイツの名前と家を教えろと』
『その通り』
『阿呆帰れ』
『一息で言ったな!!』
『あん時の流れを忘れたんか。
何で俺がアンタにアイツの事を教えると思う』
『もう突然の求婚はしねぇよ。
じっくり俺の思いを伝えていくから、な?』
『………無いな』
『何でだよ!』
『アンタは森人、アイツは人間。
一番簡単な理由は、寿命さね。
アンタら、俺らとどんだけ違うかわかってんのかい?
たった一人だけ変わっていくなんて、本人も周りも辛いだろうよ』
『う…うう…』
『それから、アイツは今、一人の事しか見えてない』
『好きな人がいるのか!?』
『…そうさねぇ…。
アンタのアイツに対する「好き」と一緒かどうかは知らんが。
とにかく、そいつの為に一生懸命なんよ』
『うー………』
『だから諦めときな』
『…久し振りの一目惚れだったんだ。
そう簡単に諦められるか』
『……やれやれ…』
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