何も無い時には、タウラスはいつも宮の隣に生えている木に登って天界中を眺めます。
初めて登った時から変わらないようで、色々な所が変わっている景色。
木も、自分も大きくなっています。
でも、一番変わってしまったのは……。


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 どんどん重いモノを持てるようになってきて、タウラスは嬉しくなってきました。
このまま頑張ればきっと、天界で一番の力持ちになれます。
そうすれば、神サマを護るのだってグッと楽になるに違いありません。
「よーし、やるぞー!!」
というわけで今日も、水が一杯入った大きな桶を両手に持って、宮の周りを走ります。
たったったった…
――良い調子、良い調子。
そう思って何周かした頃、突然腕が痛くなりました。
「!?」
思わず桶から手を放してしまいます。
ガタン!
水が勢いよくこぼれましたが、そんな事は構っていられません。
もう桶は持っていないのに、腕はどんどん痛くなるのです。
ガタガタ震えながら腕を押さえてしゃがみ込んでいると、神サマがやってきました。
「…タウラス?」
彼の様子がおかしい事に気付いた神サマは、すぐにタウラスの傍に走り寄ります。
「どうした!?」
「わかんないけど…いきなり腕が痛くなって…」
泣きそうな声で説明すると、神サマは辺りを見回して、はは〜んと納得した様子。
「お前、無理していきなり重いモノで鍛えようとしたな?駄目だぞ、成長途中の無茶は。…壊れちまう」
そう言って腕を診てくれる神サマに、タウラスは口を尖らせて言いました。
「だって、早く強くなって神サマの事を護りたいじゃん」
すると神サマは、タウラスの頭をぐりぐりと撫でます。
「お前は俺が創ったんだ。今でも十分強いから、これからは無理せずゆっくり…でも」
そして、タウラスを立ち上がらせニッコリと笑いました。
「もっともっと強くなれ」
その笑顔を見たら痛みが和らいできた気がして、タウラスも笑みを返しながら頷くのでした。


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 ふっと、自分が目を開いたのがわかりました。
いつの間にか眠ってしまったようです。
日差しは傾き、赤く染まった天界が目に飛び込んできます。
――………ちゃんと強くなったのに、アンタがいないんじゃ仕方ないだろ…。
たまに見る、そんな夢。
戻らない、昔のお話。




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