「一番年下のくせに、私の言う事聞かないからこうなるのよ!」
大きな声で言うキャンサーの前にいたのは、しょんぼりと耳を伏せ、尻尾も元気なく垂れたレオ。
二人の間には、何かの欠片が散らばっています。
それをじっと見た後キャンサーは振り返り、そこに立っていたカプリコーンに言いました。
「ごめんなさいね、カプリコーン。私から謝るわ」
カプリコーンの陶器製のカップだったのです。
どうやらキャンサーに『大人しくしなさい』と言われたレオが、思わず反発して暴れ、うっかり割ってしまった様子。
カプリコーンがそれを大切にしていたのを知っていたので、流石にレオも反省しているようなのですが…。
「駄目だ」
「え?」
低く静かなカプリコーンの声。
キャンサーは驚いた顔。
カプリコーンは、すっとキャンサーの前に膝をつき、じっと目を見ながら諭すように言いました。
「それでは駄目だ。レオの為に、本当はどうするのが正しい?」
その言葉を聞いたキャンサーは、ハッとしました。
ようやく年下のガーディアンが創られたので、何でもやってあげたくて仕方なかったのです。
でも、悪い事をした時に代わりに謝ってあげる事は良い事ではないのです。
それよりも、ちゃんと自分で謝るという事を教えてあげる方が良いのです。
キャンサーは欠片を飛び越え、レオの隣に立ち、ポンポンと背中を叩いて言いました。
「ほら、レオもちゃんと謝りなさい。ごめんなさいって」
レオはチラリとキャンサーの方を見た後、モジモジとしながら言います。
「カプリコーン…ごめんな。俺様、割るつもりはなかったんだ…」
そんな彼の頭をくしゃりと撫でながら、カプリコーンは微笑を浮かべました。
「過ぎた事だ。形ある物は皆壊れるのだから仕方あるまい。それよりもお前達、怪我は無いか?」
「うん」
「大丈夫よ」
「それならば良い」
欠片を素早くまとめて拾い、その場を立ち去るカプリコーンをキャンサーが追いかけます。
「カプリコーン」
「何だ?」
「その…ありがとう」
「礼を言われるような事をした覚えは無いな」
「えーとね…」
もじもじしながら尚も何か言おうとするキャンサーの耳元に、カプリコーンはそっと囁きかけました。
「せっかく『お姉さん』になったのだから、しっかりしないと駄目だぞ」
パッと顔が赤くなるキャンサー。
クスクスと笑うカプリコーン。
真っ赤な顔のまま、キャンサーはぎゅっと拳を握り締めて宣言します。
「私、良いお姉さんになれるように頑張るわ!」


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「レ〜オ〜!」
「何だよー!俺様悪くねぇもん!!」
「あ、あの…。二人とも、ココは壊れ物が多いからどうか騒ぎは…」
昔の宣言など、すっかり忘れてしまったように、今日もレオと大騒ぎのキャンサー。
「どうして私の言う事が聞けないの!」
「何でお前の言う事聞かなきゃいけないんだ!」
彼女が『良いお姉さん』になる日は、まだまだ遠そうです。




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