ずっと外されない視線に観念したように、ライブラは声を出しました。
「えーっと…レオ君?僕に何か用?」
そう。
何故かレオは、ライブラの前に座ってずっと彼を見ているのです。
特に何かされているというわけではないものの、やはり、ずっと見られているのは気になります。
するとレオは、尻尾を右に左に揺らして考えるポーズをした後、首を捻りながら言いました。
「ライブラ、なんだよな?」
「?」
その質問の意味がわからず、今度はライブラが首を捻ります。
「そうだけど…」
今度はライブラの顔をじぃ〜っと覗き込んで、うーんと考え込むポーズをするレオ。
「でも、修行しないんだよな?」
「修行?」
一瞬怪訝な表情を浮かべたライブラでしたが、ようやくレオが言いたい事がわかりました。
「そうか、先代は武闘系のガーディアンだったんだっけ。レオ君は、先代と修行してたんだね?」
レオはこくこくと頷いて、ぴょんぴょん跳ねます。
「ライブラは、俺様といつも修行してたんだ。こうやって!こんな風に!」
一通り跳ね回った後、ピタリと動きを止めました。
「でも、お前は違うんだよな?」
ライブラは困った顔を浮かべます。
「ごめんね。僕は後方支援として創られたからそういう修行をしたりは…」
そんなライブラを見て、レオはぶんぶんと首を横に振りました。
「別に、お前のせいじゃねぇもん。修行は一人でも出来るしな。でも…」
「…でも?」
「修行しないで何をするのかなぁーって思って、俺様、ライブラを見てる」
一緒に修行をしていたライブラが突然違うライブラになり、しかも修行をしないなんて一体どうするのか疑問なようです。
ライブラはニッコリ笑って言いました。
「僕は、色々な研究をするつもりだよ」
「『けんきゅー』?」
「そう。天界と人間界にある大きな隔たりを如何にして縮めていくかとか…」
「『へだたり』?『いか』?」
レオの顔に一気にたくさん浮かんだ『?』を見て、ライブラは恐らく彼に自分の研究の事を話しても通じないと悟りました。
「えーと…色んな伝説とかを調べたり、薬について実験したり…とにかく色々だね。僕はそういうのが好きで面白いから」
すると、パッとレオの顔が輝きます。
「面白いのか!じゃあ俺様、ライブラの『けんきゅー』見る!」
意外な言葉に、ライブラはビックリした顔を浮かべました。
「それは構わないけど…レオ君、修行は?」
「修行もする!」
ぴょんぴょん。
「ココで修行はやめてね…」
「駄目なのか?」
「危ないからね」
「じゃあ、修行で疲れた時見る!」
+++++
こうして、ライブラの研究室に入り浸るレオという、ちょっと珍しい毎日が始まったのでした。
ずっとずっと見ていたり、本を読んだりしてみますが、レオは未だにライブラの『けんきゅー』が全然わかりません。
「面白いのか?」
「面白いよ」
さてはて、レオがライブラと一緒に研究を『面白い』と言える日は来るのでしょうか。
back