――アレ、どうしてココにいるんだろう。
起き上がって辺りを見回すと真っ暗。
――夜?
それにしても暗すぎるような。
どうしてこんな所で寝ていたのだろう。
悩んでも悩んでも答えが出ないから、立ち上がって歩き出す事にした。

誰もいない道。
何も無い道。
ただ、ただ真っ暗な。

『こっちだよ』
――?
誰かの声が聞こえた気がして振り返ったけれど、誰もいない。
何事も無かったようにまた歩き出せばほら。
『こっち、こっちだって』
「――誰?何処にいる?」
声が聞こえるのに姿が見えない。
気持ち悪い。
気持ち悪い。

『良いから、こっちに来てってば!』
苛ついたような声に変わるけど、大人しく聞くわけにもいかない。
「嫌だよ。誰かも分からないのに」
こんな闇の中だから見えているかわからないけど、とりあえず首を横に振ってみる。
すると、『まったく…』と言う小さな声が聞こえた。
そして。
『ココ。ココだよ。ココに来れば全部わかるよ』

少し離れた所に赤い光。
ちょっと歩けばすぐに届きそうな。
全部わかるなら行っても良いかな、とか思ってみたりして。
それなのに。
一歩踏み出した途端、足が動かなくなってしまった。

――何?
どんどん沈んでいる気がする。
足が、地面に埋まっていく。
『――どうしたの?…あ』
謎の声の主も、こちらの様子がわかったようで。
「ねぇ、助けてよ!」
そんな風に叫んでみたけれど。
『駄目駄目。あー、また失敗か…』
そんな声がだんだん小さくなって、最後は聞こえなくなってしまった。



『もーっ、どうしてーっっ!?』
両手両足をジタバタさせる菘を見て、吏希は眉をひそめた。
『――…菘?一体何を…』
『また失敗しちゃったぁ〜…』
そういう彼の前にある道具を見て、全てを悟って吏希は溜息をつく。
『…またやったのか…』
『だって、今日こそ成功する気がしたんだもん』
頬を膨らませる菘を放っておいて、吏希はさっさと道具を片付け始めた。
それを見て、菘はもっと不機嫌になる。
『ねぇ吏希、今度もう一度見せてよ』
やっぱり1回見ただけじゃ良くわからないよ、と言った。
しかし吏希は、菘の顔を見ないままあっさり応えた。
『適当な魂を利用しての反魂なんて出来ないな』
『意地悪ーっっ!!』


君は死んだ後、また戻って来られる自信ある?
重要なのは生きたい気持ち。
良くも悪くも『生きたい』と思う強さ。
それだけなんだけど。


『案外「生きたいのに死んじゃった」って人、少ないのかもね』
『死んでいることに気付いてなくて、それほど「生きたい」と望む理由が無いという場合もあるが』
ココで、吏希は少しだけ首を捻った。
『しかし菘。お前は何故、反魂を?』
菘ははぐらかすように笑って言った。
『さーて、何ででしょう〜?』
そんな菘に、吏希は軽く肩をすくめた。



  −了−



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