「頭の中で誰かの声がするよ」
そう言った時、母は悲しそうな声で言ったんだ。
「そう、貴方だったの…」
そして、僕の事を抱きしめ泣いた。
3児の母とは思えないほどに若く美しかった彼女は、その直後に僕の前からいなくなった。

 ルキは、ふと顔を上げた。
まだ、夜中と呼ぶには早い時間。
――また、声が…。
たまに、頭の中に直接誰かが語りかけてくるのだ。
それが誰かは分からない。
けれど、とても懐かしいような…。
無論、辺りを見回しても誰の姿も無い。
以前は忘れた頃にボソッと聞こえてくる程度だったのに、最近は気付けば必死に訴えているような。
――君は、何が言いたい…?
いつも問い掛けるが、返事は無い。
だが、今日は違っていた。
突然辺りが暗くなり、何も見えなくなる。
どうしようと思って振り返ると、小さな光が見えた。
それとも、はるか遠くにあるのだろうか。
「僕を呼んでいたのは君…?」
肯定するように、光は点滅する。
「ねえ、何が言いたいの?」
すると、光がだんだん大きくなってきた。
それを見て、思わずルキは大きな声を出した。
「近付かないで!」
ピタリ、と光が止まる。
「…ゴメン…。でも、僕だって怖いんだ」
普段、全くと言っていいほど感情を表すことは無いけれど。
「君は……何が言いたい…?」
もう一度問い掛けてみるけれど、光は小さく消えていってしまう。
瞬きをすると、もうそこはいつもの自分の部屋だった。
先ほどの光を思い出して、ルキは小さく呟いた。
「……アレは…もしかして…」




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