贄は、神祈祭で神に捧げられる。
という事は、ルキが『贄になる』と言うのも神祈祭中のいつか、なのだろうか。
弟を説得する術を見つける事が出来ないまま、日にちばかりが過ぎていく。
世界の終末に関する情報は色々手に入ったが、皆結局本気では信じていない。
人形を供えれば大丈夫だと思っている。
そうすれば、世界は終わらない、と。
恐らく、『信じている』と言いつつ、心の何処かで『誰かが祭を盛り上げる為に流した噂』程度に考えているのだろう。
ルークだって、そう思いたい。
というか、『信じていない』上に単なる噂だと思っていたのに。

 真実を知っているのは、『神の声』が聞こえるという弟だけなのか。

 ルークは態度が変わらないように努めていたわけだが、実はルキのルークに対する態度も特に変わっていなかった。
勿論以前から大して話してきたりする弟ではなかったが、あの話の時以外、本当に無口で今までと変わらない。
それが、怖かった。
気付いた時に、もういなくなっているような気がして。
『贄になる』
それは、神に命を捧げる事。
もしも本当に贄になるのだとしたら、ルキが死んでしまうという事なのだ。
――確かめに行くだけだろ、結局。だったら、俺で良いじゃないか。
それを、弟は絶対に認めない。
そこがまた、嘘と思いつつも、弟の言葉に真実味をもたせているのだ。
何故、あそこまで頑なに。
神の言葉とは一体何なのか。
――あーーー、それともルキってばホントにルインの信者になって、『聞こえる』とか思い込んでるだけだったりして。
答えは出ない。

 祭の初日が次の日に迫った夜。
ルキが、またルークに声を掛けた。




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