時計の前で、ルキは怯えの無い声で言った。
「君は、何を求めて僕を呼んだ…?」
すると、優しい声が返ってくる。
「ルキ…」
そして、その声と共に姿を現したのは。
「――…?やっぱりあの『声』は、――だったんだね?」
ルキは、どれだけ彼女に会いたかった事だろう。
「ルキ、これから全てを話すわ。もしもそれに納得がいくようなら、どうか力を貸して」
そう言う彼女に、はっきりと首を振った。
「大丈夫。理由なんて良いんだ。僕は、――の為だけにここに来たんだから」
世界の為でも、姉や兄の為でもなく彼女の為。
裏を返せば、自分の想いの為。

 けれど、その想い空しくルキは、命を落とすのだ。
何故?
それは、その場にいたものしか知らない。
「泣かないで、――」
「…ルキ…」
「例え肉体は滅びても、僕はいつでも――の味方だから」
「…」
「…大丈夫。彼はきっと何かに気付くよ。いつか彼がココへ来たら、僕が伝えよう」
多分、体があればココで、彼女の肩に触れていたのだろう。
けれどもう、ルキは思念だけの存在。
「彼の知らない『真実』がココにあるという、ただそれだけの事を。今の僕にできるのは、ただ…それだけなんだ…」
そう言って、ルキが笑った。
彼女は、ルキは本当は、こんなにもよく笑う子だったんだ、と思った。

 『彼』は、本当は何も知らない――。




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