そこに立ったのは、17歳くらいの少年。
黒い髪、黒い瞳、黒い服。
黒に包まれたその身は、闇の中に溶け込む。
浮かぶのは、儀式の為に装飾されたような布と宝石。
そして白い肌。
目の前にあるのは、大きな石。
そこに右手をかざすと、口から理解し難い言葉が自然と出てくる。
それは、まるで呪文。

――世界が滅びる。……君も、消えてしまう…。

 続く呪文は、闇に光を齎した。
かざした右手の中指についた指輪が光る。
炎などより密かに、そして幻想的に。
まるで、神を呼ぶように。

 暗闇の中では、そんな小さな光がとても大きく見える。
そして、そんな小さな光でも、辺りを照らし出すには充分なのだ。
折れた柱。
崩れそうな壁。
各々に描かれた赤い不思議な模様。
そして石の隣の大きな時計――。

 聞こえるだろうか。
石の中の、鼓動が。




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