彼は悩んでいた。
自分の愛した人は兄の愛した人であり、その人は兄を愛していた。
けれどその兄は死んだ。
その為、自分の愛する人は狂ってしまった。
それでも自分はその人を愛している。
それなのにその人は、まだ兄を愛し続けている。
死んだ兄が帰ってくると信じ、待ち続けている。
死ぬのが兄でなく自分だったら。
近頃はそう考えてしまう。
そんな自分は嫌だと思っても、どんどんその考えは溢れてくる。
――兄さん、リアの傍にいてあげて。
愛している人が苦しむのを、これ以上見るのはあまりに辛い。
だって自分にはどうしようもない事だから。
あの人が愛しているのは自分ではないのだから。
けれど、死んだ人間がずっと傍に…。
そんなことが出来るはずも無い。
だから。
彼は、悩んでいた。