『先生』と出会ったのは2年前。
仕事の都合であまりレイリックの世話を出来ない両親が、家庭教師として雇ったのだ。
実は、レイリックが生まれる3年程前にも、現在のレイリックと同じ位の歳の少年が一人いた。
つまり、レイリックの兄に当たる人物が。
とてもよくできた少年で、両親もその成長を楽しみにしていた。
けれど、ある日突然失踪した。
彼に、何が起きたのかはわからない。
その事を嘆き悔やんだ両親はレイリックが生まれた時に、もう悲劇は繰り返すまいと精一杯の愛情を注いだ。
少年の失踪は、あまりに構ってやらなかった為と思い。
自分たちが構えないのなら、せめて心許せる人間をつけようと。

 どうやらその考えは成功だったらしく、レイリックはその家庭教師によく懐き信頼を寄せた。
「今日は先生がね…」
「先生ったらさぁ…」
笑顔の絶えない日々だった。
しかし、その幸せな時間はレイリックのある一言で崩壊する。

「窓の外を見ていると、何か声が聞こえるんだ」

 これがディールサム家の宿命なのだ、と両親は頭を抱えた。
100年の節目が近付く頃に発した息子の言葉。
それは彼の死を意味するもの。
「どうして私にその力が来なかった」
父は目に涙を浮かべながら叫ぶ。
自分の血を呪いながら。
母は、声も無く肩を震わす。

 そんな両親の様子を目の当たりにしたレイリックは、『先生』に尋ねたのだ。
「先生、僕はどうしたら良いの?」
すると彼は答えたのだ。
「…そうだな、選ばれた事を誇れば良い」




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