プライマリーは川原で空を見るのが好きだった。
ボーっと、何もしないで。
誰かに何かを指図されたり、自分の好きな事を邪魔されるのを何より嫌うこの少年は、いつもこの川原で1人、空を見ていた。
普段、この川原に自分以外の人間が足を踏み入れることは少なく、とても落ち着く場所だったのだ。
ところが、今日は少し違った。
いつものように川原に来ると、先客がいたのだ。
全身を深い緑で包んだ、柔らかい茶色の髪の少年…そう、フェイスティーだ。
勿論プライマリーは彼に会った事など無いので、見かけないヤツだな、と思っただけ。
後は、何も言わずに少し離れた所で座った。
すると彼は、突然話し掛けてきたのだ。
「…お前が次の贄か」
その言葉に少し驚いて、プライマリーは彼の方を見た。
しかし、彼はこっちを見る様子は無い。
「お前も…『何か』の為、『誰か』の為に命を捨てるのか…?」
フェイスティーは、長い間考えていた。
今まで贄になった者たちの言葉。
必ず『何か、誰か』の為と言って、命を投げ出していた。
それが、自分にはわからなかった。
プライマリーは、笑いながら答える。
「…何でお前が贄のこと知ってるか知らないけど、俺は死ぬつもりは無いよ」
すると、今度はフェイスティーが驚いたようにプライマリーの方を見た。
プライマリーはその顔を見ながら、面白がるように言う。
「何だよ。お前だったら死ぬって言うのか?」
「いや…」
俯くフェイスティーに、プライマリーは笑いかける。
「変なヤツだな。いきなり偉そうな態度を取ったと思えば…」
さらにフェイスティーの視線が下に下がった。