「ルイン!!」
そこは、何もない空間だった。
ルインは、いつもそこにいるのだ。
「なんだ、騒々しい」
インタリムに瓜二つの容姿の彼女。
違う点と言えば、彼女の翼は両方とも真っ白な事くらいか。
そして表情も穏やかでなく、むしろ邪悪と表現した方が近いような。
「何をそんなに慌てている?」
「どういうことなんだ?インタリムは殺した。それなのに、プライマリーは贄の呪文を唱えてる!」
焦りながら言うフェイスティーを見て、ルインは嘲るように笑う。
「愚かな奴だな…」
「何だと…!?」
「本当にあの女が贄を喰らっていたと思うのか…?」
フェイスティーの心の中がざわついた。
インタリムの語った『真実』が頭をよぎる。
自分が信じていたモノとは違う真実。
ルインに知らされていたモノとは違う真実。
そんなもの、すぐに信じられるわけはなかった。
自分の信じていたモノが、正しいと思いたかった。
「あの女は確かに贄を求めた。けれど、別に贄の命までを奪おうとはしていなかったのだ」
「…それは…どういうことなんだ…?」
鼓動がどんどん速くなった。
インタリムの語った真実を信じたくない。
「あの女はただ、ある男を蘇らせたかっただけ。力を持った贄から、その力を少しずつ分けてもらう事により、その望みを叶えようとしていた」
ふふ…愚かな事だ…と呟く。
「だから、インタリムに呼ばれた贄たちは、別に死ぬ事は無いはずだった」
「でも、俺は確かに見た!贄たちは…クイックたちは死んだ!現に、クイックは自分が死んだって言っていた!」
「まだ分からないのか?」
ルインが、下すように言う。
「贄を喰らっていたのは私だ」
「!」
フェイスティーの中で、何かが崩れた。