ひとしきり笑ってから、プライマリーが尋ねる。
「お前、この辺で見かけないけど、遠くから来たのか?」
「…そういう事になるかな」
「そっか。この辺あんまり子供いないからな。知らないヤツが来るとすぐわかるんだよ」
「…子供…」
フェイスティーが何か言いた気な目でプライマリーを見る。
「…子供だろ?どう見ても俺と変わらないじゃないか」
それを言われると、フェイスティーに反論の余地は無い。
長い時を過ごしてきたが、今の自分の見た目はあくまで子供なのだ。
「俺、プライマリー。プライマリー・レイン・ディールサム」
少しムッとしていたフェイスティーだが、いきなりフルネームを名乗られて戸惑った。
「お前…あっさりセカンドを明かすんだな…」
「別に。セカンドが悪いなんて誰が決めたのかもわからないし。呼ぶ事が無いなら最初からつけなきゃ良いのにな」
何を気にとめるでもなくそう言った後、ニッと笑う。
「で、お前は?」
「俺は…フェイスティー」
「そっか。宜しくな」
セカンドは勿論、苗字も名乗らなかった。
最初からそんなモノは自分に無いのだから名乗りようが無かったのだが…。
彼は、プライマリーは、そんな事情も知らないのにあっさり自分を受け入れた。
――…なんか、変なヤツ。
「お前は他のヤツと違うみたいだから、ちゃんと『プライマリー』って呼んでやるよ」
当然、プライマリーは?顔。
「…他のヤツ?お前、言ってる事変だよな、色々。別に良いけどさ。面白そうだし」
楽しそうなプライマリーとは対照的にフェイスティーは真剣な顔をした。
「もう一度訊く」
「何を?」
「お前は、贄になるか?」
プライマリーは、眉をひそめた。
「…しつこいヤツだなぁ…。俺は嫌だよ、そんなの。大切な人も物も、全部自分あっての事じゃないか。自分が死んでまで守りたくねぇよ」
そして川の方を見る。
「ましてや贄なんてさ、自分が死んだ後、世界がどうなってるかわかりもしないのに」
滅ぶと確信があるわけでない世界の為に、自分の命を捧げるなど。
「…そうか」
フェイスティーはなんだか嬉しくなって、満面の笑みを浮かべた。