「どうした?フェイスティー」
プライマリーに声を掛けられ、フェイスティーはハッとした。
話を聞きながら、色々考え込んでしまっていたらしい。
「いや、何でもない」
そんなフェイスティーに、プライマリーはちょっと呆れた顔を見せた。
「お前、毎日毎日俺の話聞いててよく飽きないな」
自分が話すわけでなく、ただただ聞くだけなんてプライマリーにはちょっとできない事だった。
「長い事この世界を見てきたけど、あまり人間の生活を観察した事は無いからな」
「またそういう変な事言うし…。ホント面白いヤツ」
勿論プライマリーは、フェイスティーを全く不審に思わなかったわけではない。
自分と一緒にいない時、何処にいるのかなんて分からないし、いつ現れるのかもわからない。
街の何処かに引っ越してきたという様子も無いし…。
ただ、自分が川原にいると、ひょっこりやってくるのだ。
一つ自分でも不思議なのは、今まで自分がココにいる時誰かが来ると鬱陶しかったのに、彼なら大丈夫という事。
それは多分、彼が何をするでもなく自分の話をただ聞いているからだろうと思っていた。
けれど、最近はそういうわけでもないかもしれないと思う。
彼に自分の話をするのが、何故かとても楽しい。
気付くと、いつのまにか夕方になっている。
時間を感じさせない。
「それじゃ、今日はこの辺で」
「ああ、また明日会えたら会おう」
フェイスティーは別れ際に必ず、『会えたら』会おうという。
プライマリーは、そこが一番の疑問だった。
何かの用事の合間にでも来ているのだろうか。
実は学校が凄く忙しい所だとか。
いや、家の手伝いとか。
けれど、何となくそれを訊く事は出来なかった。
時は、刻一刻と年明けに近付く。