結局何が変わると言うわけでもなく、自分はココにいた。
でも今は、自分が贄になることなどよりも、フェイスティーの事が気にかかっていた。
妙な事を言っていたから。

――誰を…殺しに行くと言っていた?『お前たちが「神と思っていた」奴』?どういうことなんだよ、フェイスティー…。

 けれど、もう一つ気にかかる事がある。
今日になってから、ずっと聞こえ続けていた『神の声』が先ほどからぷっつり途絶えた。
もしかしたら、フェイスティーの言っていた事と、何か関係あるのかもしれない。
わけのわからない文様が描かれた柱に寄りかかって、プライマリーは溜息をついた。

「プライマリー!」
呼ばれて振り返ると、そこにはたくさんの返り血を浴びたフェイスティーがいた。
「お前…その格好…!?」
そのあまりの姿に驚くプライマリーだったが、フェイスティーは笑顔だった。
「…殺した…殺してきたんだ、インタリムを…」
「フェイスティー…」
「もう、もう大丈夫…。お前は死ななくて良いんだ」
「それは良いけど、お前…」

 その時、何処からか年明けを告げる鐘の音が聞こえた。
「…ほら、もう大丈夫…」
フェイスティーはそう言い掛けて振り返る。
…顔が、青ざめた。
「『求める者よ、我の呼びかけに答えろ』 …何だよ…コレ…」
プライマリーが、何かを唱えていた。
ところどころに疑問の言葉が入っている。

――…誰かに呪文を言わされてる…!?

 フェイスティーは驚愕した。

――そんな、そんな馬鹿な!確かに俺はインタリムを…!!

『思念』
まさか、クイックと同じ時のように?
それとも…。
フェイスティーは悩んだ。
それとも、彼女の言った通り…?

「と、止まらない…!『その力を持って浄化せし…』」
もう、悩んでいる時間は無い。
「待ってろ、プライマリー!必ず、必ず助けるから!!」

 

――彼女の言った通り、お前なのか?……ルイン!!




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