「愚かな奴らだ。全てはアイツの手の中だというのに」
扉の奥を進んでいたルキの前に、1人の少年が姿を現した。
ルキよりも小柄で、柔らかそうな茶色の髪。
全身を暗い緑の服で包んでいる。
何故か彼はボンヤリと光っており、暗い中でもその姿をはっきりと見て取れた。
「君は…」
ルキは、小さな声でそう言ったが、少年は不敵に笑んで素早く返した。
「お前に名乗る必要なんてないね。」
そんな少年に微笑を向け、ルキも素早く返す。
「…ああ、必要ない」
そのまま、また前に歩き出した。
それを目で追いながら少年は問う。
「…クイック、どうしてお前はこの道を選んだ?」
少年は、ルキのフルネームを知っているのだ。
そしてあえてセカンドと言われる2番目の名前を呼んだ。
「君に言う必要はないだろう」
振り返らずに言うルキに、少年は面白く無さそうに言う。
「…気に喰わないヤツだな」
「お互い様だろう」
少年はしばらく黙ってついて来たが、またルキに声を掛けてきた。
「お前は、本当に死にたいのか?」
「君は、本当に死にたいと思ったことがあるか?」
答えずに質問を返してきたので、少年はムッとした。
「…素直に、死にたくないって言いながら戻れよ。アイツだって、戻って来いって言ってたじゃないか」
そして、顎で先ほど閉ざされた扉の方を指した。
「…そうは、いかない」
ルキは、今度ははっきりと答えを返した。
「…世界の為に?」
少年は眉を寄せながら尋ねるが、ルキは首を横に振った。
「いいや」
「じゃあ、どうして」
少年の方を振り返り、じっと彼の目を見てルキは言う。
「大切な人の為に」
ルキの目を見返しながら、少年は真面目な顔をした。
「…見えているのか、お前には」
「そうだよ。僕は、君より多くの真実を知っている」
そう言って目を伏せるルキに、少年は食って掛かった。
「何を言って…」
しかし、対するルキはとても冷静だった。
「君も、いつか分かる。そうだね。永遠とも思える時間を超えた頃。」
彼が何を言いたいのかわからずに、少年はルキに背を向けた。
「…行けよ…」
「…また、会えるよ」
「…」
また、会えるよ。