部屋の扉を開けて、ひょっこりリアが顔を出した。
「ねぇ、ファインダー。フォレスタを見なかった?」
それを受けて、ファインダーがゆっくりと振り返る。
しかし、返事は無い。
「3人で、明日の事を話したいんだけど」
明日――年が明けた後の事だろう。
その言葉に、ファインダーは明らかに動揺を見せる。
兄と違う、青い髪が微かに震える。
青い瞳は、リアを見ない。
「え…と、兄さんは…」
「?」
リアは、そんな彼の様子を不審に思い、再び尋ねる。
「……フォレスタは?」
そして、俯くファインダーの顔を覗き込んだ。
じっとその青い瞳をみつめる。
強まった語調と、その緑の瞳に観念したように、ファインダーは声を絞り出した。
「リア、落ち着いて聞いてくれ」
リアの肩に手を置いて、深呼吸をする。
「実は、兄さんは……」
――君が生きているなら、それで良いよ。
僕の命くらい、捧げようじゃないか。
「…生…贄…?何、それ。…どういう事なの?」
信じられないだろう。
信じられるはずが無いだろう。
普通の人は、何も知らない。
「兄さんは、この世界がこのままでいる為の贄として今日…」
苦しそうに言うファインダーに、リアは声を荒げる。
「冗談はやめて。嘘でしょう?そんな事って…」
本当はココで笑顔を見せ、『嘘、嘘』とでも言いたい所なのだが…。
「嘘じゃないんだ。嘘であればどんなに俺たちにとって嬉しい事か…」
そして、ぎゅっと拳を握り締める。
「神は、100年に一度、ディールサム家の血を望んでる」
フォレスタ・サーク・ディールサム。
それが今回の贄の名前。
あまりにも真剣なファインダーの様子に、リアも信じざるを得なくなってしまった。
「どうして…?どうしてフォレスタなの…?」
「…兄さんが、神の声を聞いてしまったから」
神の声――贄に選ばれたものにしか聞こえない何か。
「何処!?フォレスタは一体今何処にいるの!?」
――ねぇどうか、君は幸せでいて。