「誰も喋ってないのに、声が聞こえる。ねぇ、先生。これは空耳なんかじゃないんだ」
そう言って、少年は振り返る。
すると、『先生』と呼ばれた男は、少し淋しそうな瞳で尋ねるのだ。
「それは誰かが呼ぶ声か?」
少年は首を横に振る。
「違うよ。皆、ただ楽しそうにしてるんだ」
少年から目線を逸らし、男は小さな声で言った。
「そうか…。それは不思議だな」

――ああ、やはりお前では駄目なんだ。




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