「やっぱり、死ぬ時に色々悩んでるのは嫌だろ。俺からのせめてもの餞別だ」
フェイスティーのその言葉と同時に、突然辺りの景色が変わった。
「…ここは…」
「ココがお前の死に場所。つまり、贄を差し出す場所って事だな」
「君は一体…何者なの?」
すると、フェイスティーは得意気に言った。
「本来ならお前たちなどが会ったりする事ができないような高貴なお方だ」
そして、レイリックに背を向ける。
「俺が迎えに行くなんて滅多に無い事なんだから、感謝しろよ」
その場所は、レイリックが考えていたより広く明るい所だった。
白い壁に色々な文様が記されている。
ただし、何百年も前から使われているだけあって、壁にはひびが入り、崩れかかった柱も何本もある。
辺りを呆然と見回すレイリックを無視して、フェイスティーはずかずか奥に入っていった。
まるで、ここの造りを全て知っているかのように。
――もしかして、神の使いとかそんな感じだったりするのかな。
それにしては随分と粗雑な少年だ、と思いながら、レイリックは尚も辺りを見回す。
――どうやって僕は殺されるのだろう。
そんな不安も大いにある。
しばらくして、フェイスティーが戻ってきた。
「何処へ行ってたの?」
「ん?ああ、お前たちのいう所の『神』の指示を仰いできたってヤツか」
――ああ、やっぱり神の使いだったのか。
レイリックはそう思う。
それならやけに贄に詳しいのも納得がいく。
「それで…その、神はなんて?」
「別に間違いでも構わない。邪魔な因子は殺せってさ」
「…何…?」